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  • トランプ氏が築いたカジノ帝国:アトランティックシティの夢と現実

    ドナルド・トランプと聞いて、今や多くの人が政治家としての姿を思い浮かべるでしょう。しかし、彼がその名を轟かせた初期のキャリアにおいて、不動産開発と共に重要な柱だったのが、カジノ事業でした。特に東海岸のギャンブルの都、アトランティックシティを舞台に繰り広げられた、トランプ氏のカジノ帝国。その栄光と、時に厳しい現実を見ていきましょう。

    華々しい登場:アトランティックシティの王子様

    1980年代、東海岸のラスベガスを目指し、カジノ開発が活況を呈していたアトランティックシティ。そこに颯爽と登場したのが、若き日のドナルド・トランプ氏でした。彼はその大胆なビジョンと、自身の名を冠した豪華な施設で、瞬く間に注目を集めます。

    1984年には**「トランプ・プラザ」をオープン。そして、その極致とも言えるのが、1990年に当時世界最大のカジノホテルとして鳴り物入りでオープンした「トランプ・タージマハル」**でした。インドのタージマハル宮殿を模した壮麗な外観、豪華絢爛な内装、セレブリティが集う場所、ハイローラーたちの社交場。まさに「トランプ」の名が持つ華やかさと富の象徴でした。

    もう一つ、**「トランプ・キャッスル」(後のトランプ・マリーナ)**も加え、トランプ氏はアトランティックシティで複数のカジノを所有し、その名を不動のものにしました。彼は自らを「カジノの王様」と称し、そのブランドは成功と贅沢の代名詞のように見えました。

    栄光の裏の厳しい現実:破産とブランドの変遷

    しかし、その華やかなイメージの裏側では、厳しいビジネスの現実が常に存在していました。トランプ氏の積極的なM&Aと大規模な投資は、莫大な負債も生み出しました。彼のカジノ会社(Trump Entertainment Resortsなど)は、結果的に何度も経営破綻申請(チャプター11)を行うことになります。

    「トランプ」というブランドは成功の代名詞のようでしたが、カジノ事業は常に収益性との戦いでした。アトランティックシティ全体の競争激化や、ペンシルベニア州など他州でのカジノ合法化も逆風となり、かつての活気を失いつつありました。

    徐々にトランプ氏自身のカジノ事業への関与は薄れていき、最終的には彼のカジノ資産のほとんどが売却されるか、閉鎖されることになります。例えば、トランプ・タージマハルは2014年に閉鎖され、その後ハーディ・ロック・ホテル&カジノとして再オープンしました。トランプ・プラザも2014年に閉鎖し、2021年には解体されました。

    カジノ帝国が残したもの

    現在、かつてトランプ氏の名を冠したカジノのほとんどは、その名を変更するか、廃業しています。彼のカジノ事業は、華々しいスタートを切ったものの、最終的には厳しい現実に直面し、その幕を閉じました。

    この一連の出来事は、カジノ事業の浮き沈み、そしてブランド戦略の難しさを浮き彫りにしました。しかし、同時にドナルド・トランプという人物の、多角的で波乱に満ちたビジネスキャリアの一側面を物語る、興味深い章と言えるでしょう。

    彼のカジノ事業は、後に彼が政治の世界で自身の「ブランド」を確立する上で、多くの教訓を与えたのかもしれません。華やかな世界で名を馳せ、時に挫折を味わいながらも、常に注目を集め続けた「トランプ」の名。そのルーツの一つが、アトランティックシティのきらびやかなカジノ群にあったことは間違いありません。

    あなたにとって「トランプ・カジノ」と聞いて思い浮かべることは何ですか?コメントで教えてくださいね!