キラめくネオンの裏側：カンボジアのカジノが語るもの
カンボジアと聞いて多くの方が思い浮かべるのは、世界遺産アンコールワットの壮大な遺跡群や、微笑む人々の優しい笑顔かもしれません。しかし、この国のもう一つの顔、それはきらびやかなネオンが輝くカジノの姿です。
今回は、アンコールワットの陰に隠れた、カンボジアのカジノ産業の魅力と、その多面的な側面について深掘りしてみましょう。
なぜカンボジアにカジノが多いのか？
カンボジアがカジノ産業を育成してきた背景には、いくつかの理由があります。
地理的優位性: タイやベトナムといった隣国に挟まれ、主要都市や国境沿いにカジノを設置することで、周辺国の富裕層やギャンブル愛好家を誘致しやすい立地です。
経済発展の起爆剤: 観光収入だけでなく、カジノによる税収は、カンボジアのような開発途上国にとって貴重な国家歳入源となります。雇用創出も期待されます。
寛容な法制度: 外国人を対象とする限り、カジノの設置に対して比較的寛容な姿勢を取ってきました。ただし、カンボジア国民は入場禁止という厳しい規制があります。
誰が、どこでギャンブルをするのか？
カンボジアのカジノの主な顧客は、中国人富裕層、そしてタイやベトナムからの訪問客です。彼らは高額な賭けを楽しみ、カジノホテルが提供する豪華なサービスを体験します。カンボジア国民は法律でカジノへの入場が禁じられているため、彼らにとってはあくまで外国人のための施設です。
主要なカジノエリアは以下の通りです。
プノンペン (Phnom Penh): 首都プノンペンには、国内最大のカジノリゾート「NagaWorld」があります。ホテル、ショッピングモール、エンターテイメント施設が一体となった巨大な複合施設で、プノンペンのランドマーク的存在です。
シアヌークビル (Sihanoukville): かつては静かなビーチリゾートでしたが、近年最も注目されたエリアです。特に中国資本の大量流入により、高層カジノホテルが林立し、急速な発展を遂げました。リゾート型カジノが多く見られます。
国境地帯: タイやベトナムとの国境沿いには、小規模ながらも多数のカジノが点在しています。隣国から日帰りで訪れる客が多く、手軽なギャンブルの場として機能しています。
カジノ産業の光と影
カンボジアのカジノ産業は、この国の経済に大きな影響を与えてきましたが、その歩みは決して平坦ではありません。
光の部分：
国家歳入と外貨獲得に貢献。
雇用創出（建設業、サービス業など）。
国際的な観光地としての認知度向上。
影の部分：
2019年には政府がオンラインギャンブルの全面禁止を決定。これにより、特にシアヌークビルを中心に多くのカジノが閉鎖や事業規模の縮小を余儀なくされ、多くの中国人労働者が帰国するなど、経済に大きな打撃を与えました。
急速な発展の裏側で、マネーロンダリング、違法労働、社会問題との関連性も指摘されることがあります。
環境への影響や、インフラ整備の遅れといった課題も顕在化しました。
現在、カンボジアのカジノ産業は、オンラインギャンブル禁止後の新たなバランスを模索している段階です。規制の強化や合法的なカジノリゾートへの集約が進むなど、より健全な発展を目指す動きも見られます。
まとめ：カンボジアの多面的な魅力
カンボジアのカジノは単なるギャンブル施設ではありません。それは、急速な経済発展を求める国の姿、国際的な投資の流れ、そして社会が直面する課題を映し出す鏡とも言えるでしょう。
アンコールワットの悠久の歴史に触れた後、プノンペンのNagaWorldで近代的なエンターテイメントを体験するのも、カンボジアの多様な魅力を知る上で興味深い経験となるかもしれません。訪れる際は、その背景にある文化や社会、そして変化の歴史にも思いを馳せてみてはいかがでしょうか。