皆さん、こんにちは!ギタリストの[あなたの名前/ブログ名]です。
エレキギターを語る上で、これほどまでに「ルックス」「サウンド」「歴史」の三拍子が揃ったギターは他にあるでしょうか?
今日ご紹介するのは、私が心から愛してやまないギター、**エピフォン・カジノ (Epiphone Casino)**です。
「カジノ」と聞くと、ギャンブルを連想されるかもしれませんが、ギタリストにとってこの名前は、60年代のブリティッシュ・ロック、そして何よりも世界一有名なあのバンドのサウンドを象徴する、特別な響きを持っています。
セミアコに見えて実はフルアコ。P-90ピックアップの鋭い鳴り。そして、あのジョン・レノンが愛用したという事実。
今回は、私がカジノに魅了された理由と、その独特な魅力について、熱く語らせてください!
1. カジノの最大の特徴:見た目はセミアコ、中身はフルアコ!
カジノが初めて世に登場したのは1961年。ギブソン傘下となったエピフォンが、ギブソンES-330の兄弟機として開発しました。ルックスはギブソンのES-335やES-345に非常に似ていますが、その構造には決定的な違いがあります。
フルアコースティック構造の魔力
ES-335などのセミアコースティックギター(セミアコ)は、ボディ中央に音響的な振動を抑えるための木材のブロック(センターブロック)が入っています。これにより、大音量でのハウリング(フィードバック)を防ぎ、ソリッドギターに近いサスティンを得ることができます。
しかし、カジノにはこのセンターブロックがありません。つまり、**完全なフルアコースティック構造(フルアコ)**なのです。
私が初めてカジノを手に取ったとき、その軽さに驚きました。そして、アンプを通さずに弾いた時の、豊かで、どこか温かみのあるアコースティックな響き。この「箱鳴り感」こそがカジノのサウンドの核です。
これは、カジノが単なるエレキギターではなく、「アコースティックギターの増幅版」として機能していることを意味します。
P-90ピックアップの獰猛な咆哮
そして、カジノのサウンドを決定づけているもう一つの要素が、P-90ソープバー・ピックアップです。
これは、ハムバッカーが登場する前に、ギブソンが使用していたシングルコイル・ピックアップです。
特徴 ハムバッカー (Humbucker) P-90 (Casino搭載) フェンダー系シングル (Strat/Tele)
構造 ノイズを打ち消す2つのコイル 大きめの巻きのシングルコイル 細身のシングルコイル
音の太さ 太い、パワーがある ミッドレンジが強烈、骨太 繊細、きらびやか
歪み耐性 非常に高い 良い(ハウリングしやすいが味になる) 低い
得意なジャンル ハードロック、オールジャンル ロックンロール、ブルース、インディー ポップス、カントリー
P-90は、通常のシングルコイルよりも出力が高く、ミッドレンジが強烈に飛び出してきます。フルアコボディとの組み合わせにより、コンプレッション感が少なく、アンプを軽くプッシュするとすぐに「ガツン!」とした、生々しく攻撃的なクランチトーンが得られるのです。
このサウンドの「荒々しさ」こそが、多くのロックギタリストを虜にしてきました。
2. 伝説の証人:ビートルズとカジノ
カジノが伝説的な地位を確立した最大の理由は、間違いなくあのバンドの存在です。
ジョン・レノン、ポール・マッカートニー、ジョージ・ハリスン
ビートルズのメンバーのうち、なんと3人もがカジノを愛用していました。
特に有名なのが、ジョン・レノンが愛用したカジノです。初期の鮮やかなサンバーストから、後に彼がフィニッシュ(塗装)を全て剥がしてナチュラルウッドの状態にした姿は、あまりにもアイコニックです。
塗装を剥がすことで、木材の振動をさらに妨げなくなり、より生々しいトーンになったと言われています。
彼らがカジノを弾いていた絶頂期は、バンドが最も革新的で実験的だった時期と重なります。特にアルバム『リボルバー』や『サージェント・ペパーズ・ロンリー・ハーツ・クラブ・バンド』期には、このカジノ特有の「ブライトでアグレッシブ、しかし温かい」サウンドが随所に聴かれます。
【ここで引用を一つ】
ギブソン社のインタビューで、ポール・マッカートニーはカジノについてこう語っています。
「私は(レコーディングで)ベースを弾くことが多かったが、ギターを弾くときはカジノを使っていた。あの(P-90の)サウンドには、他のギターにはない、素晴らしい『噛みつき(バイト)』があったんだ。」
カジノは、セミアコのように洗練されすぎておらず、テレキャスターのように硬すぎない、まさに**「ロックの熱量」をそのままアンプに叩きつけられる**稀有な存在なのです。
カジノを愛する現代のアーティストたち(リスト)
カジノの魅力は過去のものではありません。
ポール・ウェラー (The Jam, Style Council):ブリティッシュ・ロックの重鎮。
ゲイリー・クラーク・ジュニア (Gary Clark Jr.):現代ブルースロックの旗手。P-90サウンドの魅力を最大限に引き出しています。
ザ・ストロークス (The Strokes):インディーロックの分野でも軽量なカジノがよく使用されています。
3. 私がカジノを選ぶ理由:ハウリングと戦う醍醐味
私が自分の音楽にカジノを取り入れたいと思った最大の理由は、**その音の「個性」**です。
正直に言うと、カジノは扱いやすいギターではありません。フルアコ構造ゆえに、ディストーションを深くかけたり、大音量でアンプの前に立つと、すぐに**「ブゥーン」**というハウリングを起こします。
しかし、ハウリングを恐れてはいけません。これはカジノの個性であり、プレイヤーを成長させてくれる要素だと私は考えています。
ハウリングとの付き合い方(私の実践)
アンプとの距離と角度: スピーカーの真正面に立たない。ギターのボディとアンプの間に角度をつける。
ボリュームノブの活用: 弾かない瞬間は必ずボリュームを絞る。これはカジノ使いの鉄則です。
ミュートの徹底: 不要な弦振動を左手と右手で徹底的にミュートし、ボディの振動を抑える。
このハウリングという「じゃじゃ馬」をコントロールできたとき、カジノは最高のレスポンスを返してくれます。それは、ソリッドギターでは決して得られない、**「空気と共に鳴っている」**という感覚です。
クリーン〜クランチトーンでの、コードを弾いた時のコード感の分離の良さは、本当に最高なんです。
4. エピフォン・カジノの種類と選び方
現在、エピフォンからは様々な価格帯のカジノがリリースされています。
もしあなたがカジノの購入を検討しているのであれば、どのモデルを選ぶべきか、主要なラインナップをまとめてみました。(2024年時点の一般的なモデル分類に基づいています)
モデル名 生産国 特徴/ターゲット 価格帯
Epiphone Casino Worn アジア圏 廉価版。サテン仕上げで手に馴染みやすい。P-90サウンドを試したいエントリー層に最適。 低
Epiphone Casino Standard アジア圏 グロス仕上げで伝統的なルックス。初心者から中級者まで対応する万能モデル。 中
Epiphone Casino Elitist 日本 (寺田楽器など) 高い品質管理とヴィンテージ志向のスペック。木材やパーツにこだわりたいプレイヤー向け。 高
Epiphone USA Casino アメリカ ギブソン・カスタムショップに匹敵する最高峰モデル。ラッカーフィニッシュや特別なP-90を搭載。 特上
私のおすすめの選び方
もし予算に余裕があれば、ぜひ**「Elitist」**モデルを検討してみてください。日本の非常に高い技術力で製造されており、ヴィンテージカジノが持っていた繊細な鳴りを、現代の安定した品質で提供してくれます。
もちろん、エントリーモデルの「Worn」でも、カジノ特有のP-90サウンドとフルアコ構造の魅力は十分に楽しめますよ!
まとめ
エピフォン・カジノは、ただの「ビートルズ・ギター」で終わらない、深い魅力を持った楽器です。
その独特の構造は、プレイヤーに挑戦を要求しますが、それに応えることができたとき、カジノは最高のパートナーになってくれます。
軽やかなボディ、耳に痛くないのに鋭いP-90のトーン、そしてロックの歴史を語る上で欠かせないそのルックス。
もしあなたがサウンドに個性を求めているなら、一度カジノを手に取ってみてください。きっと、その箱鳴り感と荒々しいP-90のトーンの虜になるはずです!
FAQ:カジノ ギターに関するよくある質問
Q1: カジノはなぜセミアコ(ES-335)と間違われやすいのですか?
ボディの形状(ダブルカッタウェイ)が非常に似ているためです。しかし、ES-335がセンターブロックを持つ「セミアコ」であるのに対し、カジノはセンターブロックのない「フルアコ」です。カジノの方がES-335よりもボディが薄く、軽量な点も特徴です。
Q2: カジノのP-90ピックアップはノイズが多いですか?
P-90はシングルコイルなので、ハムバッカーに比べるとノイズ(ハムノイズ)は発生しやすいです。しかし、そのノイズを上回るほどの強力なミッドレンジとバイト感があり、多くのギタリストはそのサウンドのためならノイズを受け入れています。
Q3: どんなジャンルに向いていますか?
カジノは特に以下のようなジャンルで真価を発揮します。
ブルース、ガレージロック
ブリティッシュ・ロック、インディーロック
ジャズ(クリーンなトーン)
ポップス(カッティングやバッキング)
高ゲインなメタルやモダンなハードロックには向きません。フルアコボディが爆発的なフィードバックを起こすため、クランチ〜オーバードライブの範囲で使うのがベストです。
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